SSブログ

CGはなかなかだが退屈「流浪地球ザ・ワンダリング・アース」 [映画の雑感日記]

「流浪地球ザ・ワンダリング・アース」☆☆☆

 珍しい中国のSFスペクタクル映画「流浪地球( ザ・ワンダリング・アース、さまよえる地球)」。この2月に封切られ1週間で興収400億円を突破したという話だが(1月で750億円を突破したという話もある)、なんせあの国は白髪三千丈の国なので、まあ話半分に聞いておいたほうがいいだろう。
 話は太陽が赤色巨星化し地球軌道までもが飲み込まれてしまうことがわかり、地球がまること太陽系から脱出するというもの。地球が軌道を変えて危機を回避するというと、私のような年寄りには半世紀も前の東宝映画「妖星ゴラス」が思い出されるわけ。ただ、あれは巨大質量をもつ妖星ゴラス(要するに中性子星)から逃れるため南極にロケット基地を建設し、ゴラスの軌道からちょいと離れるだけだが、こちらは太陽系を捨てて他の恒星系(4.3光年なんて言葉が出てくるのでおそらく最も近い恒星アルファ・ケンタウリだろう)をめざすというのだからスケールだけはでかい。
 SFフアンなら「2001年宇宙の旅」でおなじみのアーサー・クラークの処女作「太陽系最後の日」を思い出すかもしれない。太陽爆発が活発化し、地球が生命の住めない惑星になりつつあるという設定も似ていなくはない。ただ、こちらは、地球に見切りを付けた人類は無数のロケットで宇宙に飛び出すわけで、地球がまるごと「逃げ出す」という話ではない。ハインラインの「宇宙の孤児」は巨大宇宙船での航行であり、やはり地球まるごとというわけではない。さすがに太陽からはどんどん離れるわけで地上は極寒。人々は推進ロケットの関係者以外は地下での生活を余儀なくされている。
 まあ、こうした地球の最後、人類の最後に関わる話は今までいろいろなSF作品で語られてきたわけで、もちろん製作者はそうしたものを参考にしているのだろう。しかし、地球環境は基本的に太陽エネルギーに頼っているわけで、「放浪」を始めたらいったいエネルギー環境などどう整備するんだろう。氷の惑星では植物の光合成なども当然ないわけで、ある程度は地下資源を利用するとしても、それはタコが自分の脚を食べるようなもので、目的の恒星系にたどり着くまでの何万年もの期間資源が保つとはとても思えない。とすれば、行き着く先はのたれ死にの全滅である。
 CGは予想よりはずっとうまく出来ており、広大な氷原の光景など悪くはない。が、展開される話は上記のように整合性がなく、しかもかなり陳腐で、おおっと驚かされるような展開はない。また、いかにも中国らしく家族の問題がからんでくるので、ちょっと退屈する。家族の問題などどうでもいいとは言わないが、こんなんラストで「めでたしめでたし」でいいんだろうか?

↓予告編
http://www.nicovideo.jp/watch/sm34269835
ワンダリング・アース.jpg
☆★は、尊敬する映画評論家・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。合格というか、まあ許せるラインということです)
nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。