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結末がわかっている虚しさ「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」 [映画の雑感日記]

「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」☆☆★★

 「スター・ウォーズ」の第1作は言うまでもなく、現在、「新たなる希望」というサブタイトルがつけられている「epi.4」である。私は、この映画を渋谷の映画館で見たが、まあいろいろ不満点はあるものの退屈せずに見られた。世界的にも大ヒットし、その後、「epi.5」「epi.6」が作られ、とりあえずの3部作が完成した。
 当時、「epi.4」の監督も務めた製作総指揮のジョージ・ルーカスはこのシリーズは3部作(ルーク・スカイウォーカーの冒険)の前に3作、後に3作の全9作になり、2体のロボット(R2-D2とC3-PO)だけがシリーズ全体を通して登場する、というようなことを言っていた。人間には限られた寿命があるわけだから、これはうまい方法だと思ったものだ。

 ところがいつまで経っても新シリーズは製作されず、私なんぞはとうに諦めていたところ、突如として「epi.1」が作られた。再開が「epi.1」になったのは納得。「epi.7〜9」まで作ってしまいシリーズが完結してしまったら今さら「「epi.1〜3」を見ようというのはマニアしかいない。もちろん、「epi.1〜3」では「epi.4」に繋がるまでを描けばいいのだから、「epi.6」の後の新世界を築いていくよりもはるかに作りやすいということもある。まあ、そのぶん「epi.1」のかわいい坊やが所詮はダース・ベイダーになってしまうのがわかっているため、もう1つ登場人物に入っていけない、つまりは結末がわかっている話を延々と見させられるという退屈な側面がどうしても気になってしまう。

 それでも、「epi.3」が終わった時点で、「epi.1〜6」は、ダース・ベイダーの誕生から死までを描いたわけで、(当初の9作の予定とは異なるものの)「スター・ウォーズは、ダース・ベイダー・サーガとして完結した」というルーカスの言葉は、それなりに納得のいくものであった。私も、まあそういうことなら仕方ないかと納得したものである。

 ジョージ・ルーカスという男が希代の詐欺師だったことがわかるのは、その後のこと。
 なんと、ルーカスは「スター・ウォーズ」の権利をすべて(最近では単なる金儲けのためだけの映画を量産している)ディズニーに売り渡してしまったのだ。で、「epi.7」が作られた。「epi.1〜6」まで見てきて、結局のところ「スター・ウォーズ」は「epi.4」だけの映画だったのかなと思っている私には、また同じパターンを繰り返すのかよ、と言いたいほど退屈な映画だった。それでも儲かったのだろう、「epi.8」の前に突如として(と私には思えた)「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」いう映画が公開された。ストーリーだと? と思ったら、要するにサイドストーリーのことで、「epi.3」と「epi.4」の間には年月があるので直接「epi.4」に繋がる部分を描いたというお手軽映画だった。
↓この映画のラストが「epi.4」の冒頭に繋がる。以前、このブログにも簡単な感想を書いているので、関心のある人は、どうぞ。
https://meisoud.blog.so-net.ne.jp/2017-03-06

 その後に作られたのが「epi.9」に繋げるためにとりあえず作ってみましたという「epi.8」。この映画の弱点はせっかく新しいヒロインと敵役を作ったのに年寄りルークの比重が強すぎて、ヒロインも敵役も影が薄くなってしまったことで、私なんぞは、次第にもうどうでもいいじゃんという感じでいらいらしながら見ていた。しかし、「epi.8」を公開してしまえば、残りはもう1作しかない。せっかくの金づるが終わってしまう。と焦ったディズニーの面々はは、そうだ京都に行こう、ではなく、そうだもう1本サイドストーリーを作ろうと考えたのだろう(あくまで推測です)。

 ずいぶんと前置きが長くなったが、それが本作「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」というわけだ。公開されてまだそれほど経っていないので、細かいストーリーは書かない。まず、本流の「スター・ウォーズ」でのハン・ソロの初登場シーンを思い出してほしい。そう、「epi.4」の宇宙空港の酒場のシーンだ。ここで必要なのはハン・ソロ、チュー・バッカ、ファルコン号の3点セット。つまり、映画の終りには、はい揃いましたよ、ということにすればいいわけだ。

 問題は、こちらは「epi.4」以降のハン・ソロの活躍を知っているということ。つまりこの後の物語で活躍するハン・ソロが、この映画で死ぬことは絶対にないのだ。すると、どういうことになるのか。どんなに危機に陥ってもハン・ソロは助かるのだから、見ていてハラハラ・ドキドキすることが全然ない(少なくとも私はそうだった)。犯人がわかっている推理小説を読むようなものだ。

 これを、一言で言ってしまえば、「退屈」ということになる。ついでに書いてしまえば、ハン・ソロといえば=ハンソン・フォードというくらいイメージが強いため、主人公の少年があまり似ていないこともあって、どうしても若きハン・ソロという気がしない。

 しかし、そうした致命的弱点に目をつむったとしても、そもそもハン・ソロの昔話にどれほどの人が興味をもつのだろう。スター・ウォーズの本流に登場して活躍したからこそのハン・ソロであり、本流以外の「前説」や「私生活」などどうでもいいことではないのか。歳をとって頭がおかしくなり?「エイリアン」の前物語を延々と作っているリドリー・スコットにしろ、この「スター・ウォーズ」の水増しシリーズにしろ、最近の映画は変な方向へ向かってるなぁと溜息をついているのは、時代に取り残された年寄りの繰り言か?

↓予告編
https://www.youtube.com/watch?v=awNYu_4h8lE
ハンソロ.jpg
☆★は、尊敬する映画評論家・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。合格というか、まあ許せるラインということです)
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