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不出来で寒くなる「サムライマラソン」 [映画の雑感日記]

「サムライマラソン」☆★★

 監督・脚本がバーナード・ローズという外国人。名前は聞いたことがあるが、ボケのせいもあり何を撮った人なのか思い出せない。ともかく役者が豪華。人物が錯綜するが公儀隠密の「草」に佐藤健。ヒロイン雪姫に小松菜奈。そのほか森山未來、青木崇高、染谷将太、竹中直人、豊川悦司、長谷川博己、門脇麦、筒井真理子・・・。映画が2本は作れそうな陣容である。
 話は「安政遠足(あんせいとおあし)」と呼ばれる、安政年間に安中藩で行われた長距離走が元。なんでもこれが
「日本マラソン発祥」ということらしいのだが、山あり谷あり階段ありの、まあクロスカントリーのようなもの。「超高速!参勤交代」の土橋章宏「幕末まらそん侍」が原作だというので、歴史コメディだろうと思って見た(ただし「超高速」は続編の「リターンズ」を含めてすべり通しの映画だったのでそれほど期待はしていない)。

 このての映画は、本筋がスタートする前の「布陣」が重要になる。競技に参加する人物たちのキャラや役割などがきっちり描かれていないとその後の展開がわけのわからないものになり、ぐじゃぐじゃになってしまうからだ。
 というような話で私が思い出すのは、もう半世紀も前のケン・アナキン監督・脚本の70mm映画「素晴らしきヒコーキ野郎」。20世紀初頭、飛行機が発明されて何年も経っていない時代のロンドン・パリ間のヒコーキレースを描いた映画だ。ともかく参加する連中が、堅物のドイツ軍人、プレイボーイのフランス人、飲んだくれのスコットランド人、そして黒ずくめの悪役など各人のキャラが立っており、もちろん飛行機もそれぞれ形が違う。レース開始前から当然のように鞘当て、つばぜり合い、企みなどあって退屈せず、レース開始後もうまく描き分けが出来ているので大いに楽しむことができた。
https://meisoud.blog.so-net.ne.jp/2013-02-27

 対して、本作。藩主が部下たちの体力と頑張りを試すためという理由はわかるにしても、それが幕府に誤解され血で血を洗う戦いになるというのはちょっと、相当、いや、かなり無理がある。「草」の設定にも無理があり、姫の行動に至っては理解不能。しかもこの姫、鉄砲で撃たれて弾を抜くという重症なのにタカタカと普通に走るという不思議。竹中が疲労で倒れそうだったのに突然勢いよく走り出すのは忍法でも使ったのか。ともかくマラソンの途中で理解不能部分続出。いろいろなエピソードもマラソンの流れを止めてしまうようなものが多く、ぎくしゃくして話に乗っていけない。

 さらに問題なのは、スプラッタ。
 「参勤交代」はギャグがすべりにすべっていたが、それでも製作者が歴史コメディ映画を作りたいという意図は伝わってきた。しかし、本作はどんな意図で作られたのか、私には最後までわからなかった。その一因がスプラッタ。
 この映画、やたら人が死ぬ。それだけでもなんだかなぁという感じなのだが、その血が盛大に飛び散る。さらに切り落とされた首がごろんと転がったりもする。ラス前は、ずらっと農道に死体がずらりと並べられているシーンが。これではとても笑えないし、感動もできない。これほどのゴミ映画は本当に久しぶりだ。
 ただただ、地平線の彼方までドン引いて「見なかった」ことにするしかない。まあ、コミカルな歴史劇だと勘違いして見た私が悪いのだろうが、いったいどういうつもりでこんなクソ映画を作ったのだろう。あまりのドンすべりギャグに寒くなるので、これで暑さを克服しろとでも言いたいのだろうか?

↓「サムライマラソン」予告編
https://www.youtube.com/watch?v=KEnIMopv2v8
マラソン.jpg
↓「素晴らしきヒコーキ野郎」予告編
https://www.youtube.com/watch?v=05rrOsKsmqM

☆★は、尊敬する映画評論家・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。合格というか、まあ許せるラインということです)
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