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東映チャンバラ3本立て [映画の雑感日記]

 子どものころ見に連れていかれた、あるいは見に行った映画はなんといっても東映のチャンバラ映画だった。まず、子どもにとっては「いい方」「悪い方」がはっきりしているのがありがたい。しかも、「いい方」は絶対に勝つので安心して見ていられるし、見終わった後も気分がいい。相手が何十人いようと主人公が踊るように剣を振ると刃先が当たってもいないのに敵がばたばたと倒れていくのも爽快だ。そんな東映チャンバラ映画が著作権切れなのかどうか知らないが外国のサイトにアップされていたので暇潰しに見てみた。
丹下.jpg
「丹下左膳」☆☆★★
 丹下左膳といえば大河内傳次郎の名前があがるが、嵐寛寿郎、月形龍之介、丹波哲郎あたりも演じている。今回見たのは大友柳太朗が演じた1958年坂。タイトルは単に「丹下左膳」だが内容は「百万両の壺(こけ猿の壺)」。「乾雲坤竜」の巻と並ぶ丹下左膳の2大ストーリーである。東映スコープ(要するにシネマスコープ)1周年記念ということで、丹下左膳・大友柳太朗、柳生源三郎・大川橋蔵、蒲生泰軒・大河内傳次郎、将軍吉宗・東千代之介、大岡越前守・月形龍之介、ちょび安・松島トモ子そのほか山形勲、多々良純、左卜全、美空ひばりとオールスター。監督は東映時代劇量産の松田定次。その昔、三番館で見て、毒薬を飲んでしまった大川橋蔵を助けに大友柳太朗が走るシーンが写ると拍手、捕り方が走るシーンが写ると拍手という感じで忙しかったことを思い出した。当時は全く気がつきもしなかったが、丹下左膳といえばこの人といわれる大河内傳次郎が蒲生泰軒役で出ていたのはある意味リスペクトということか。ただ、サービスのつもりなのかせっかく出ているんだからという感じで美空ひばりの歌がやたらと挿入されるのでその度に流れが中断されてしまうのにはまいった。

「殿さま弥次喜多」☆☆
 中村錦之助が尾州宗長と弟の中村賀津雄が紀州義直を演じ、自由を求めて弥次喜多道中を繰り広げるコメディ時代劇。これに瓦版の特ダネ記者として美空ひばり、その父に大河内伝次郎らが加わる。監督は沢島忠。高貴なお方とマスコミ関係者という取り合わせは、「ローマの休日」を意識したものか。いずれにしてもスラップスティックというより底の浅いドタバタが織り込まれるもののほとんど笑えない。次期将軍に誰がなるのかという流れの中でまあ陰謀が渦巻き、最後は吉原での大立ち回り。何十人斬ったかしれないがまあ踊りのような立ち回りなので華麗ではあっても迫力・緊張感はない。最後にくじ引きで将軍が決まったオシマイ。子どものころから中村兄弟は似ているが、錦ちゃんと比べて弟の賀津雄はパッとしないなあと思っていたが、2人並ぶとその差は歴然。整形以外に話題のない姉の有村藍里と朝ドラ女優で紅白の司会までやった妹の有村架純姉妹のようなものか。もしかするとこのシリーズ3本も作られたそうだが、錦ちゃんによる弟救済映画たったのかもしれない。

「きさらぎ無双剣」☆☆★
 市川右太衛門といえば「旗本退屈男」なのだが、それ以外の映画もあったので見てみた。御大以外にも松方弘樹、里見浩太郎、高田浩吉(大岡越前守)、近衛十四郎(敵役)、東千代之介(将軍・徳川吉宗)などのほか、若山富三郎、山形勲、月形哲之介、坂東好太郎なども顔を出す。東映の得意技「スターをずらりと並べてみました」映画なのだが、ストーリー展開がぐだぐだでそれぞれの役も生かされていないので、この人出す必要あったのかなという気にもなる。「殿さま弥次喜多」では尾張と紀州は仲良しこよしだったのだがこの映画では一転、将軍・徳川吉宗追い落としの「尾張の陰謀」が話の中心になる。ちょっと感心したのが近衛十四郎(本作では息子の松方弘樹とは敵味方(^^;)の太刀捌き。東映のチャンバラは踊りのようなもので市川右太衛門の太刀が華麗なのはその典型。対する近衛の太刀はまあ踊りは踊りなのだが、スピードが抜群で現実に立ち会ったら右太衛門もかなわないなと思わせるものがあった(ま、東映映画なのでラストは当然「いい方」が勝つわけだが)。さすが。

☆★は、尊敬する映画評論家・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。合格というか、まあ許せるラインということです)
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