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イーストウッド主演「人生の特等席」 [映画の雑感日記]

「人生の特等席」☆☆☆★★

 今日は3/3なので、ちょっとハート・ウォーミングな映画を。見終わると、ちょっといい気分になれる、こういう映画もたまにはいいものだ。
 クリント・イーストウッドは確か1930年の生まれだったと思うので、もう83歳のはず。さすがに歳のせいか「ヒア アフター」「J・エドガー」とこのところ今ひとつの作品を作っている(それでも昨今のCG全盛時代の中ではおっさんが見られる希少な作品で、「今ひとつ」というのはイーストウッドとしてはということだ)。自身の出演作としては、2008年の「グラン・トリノ」(監督も。これは傑作)が最後で、「映画に出るのはこれが最後だ」のようなことを言っていたと思う。
 しかし、政治家の公約と芸能人の引退発言ほどアテにならないものはなく、なんとこの作品にちゃっかり主演しているではないか。それどころではない、最新作は「スター誕生」で、しっかり監督もやっているようである。元気ですなあ。
 今回のイーストウッドの役は、歳をとり目がよく見えなくなったプロ野球の老スカウト(思い起こせば「ミリオンダー・ベイビー」ではボクシングの老トレイナーだった)。その娘におやまあ珍しいエイミー・アダムスさんではありませんか(私は「ナイト・ミュージアム2」のアメリア・イアハートしか見ていないが、「ザ・ファイター」「ザ・マスター」でアカデミー助演女優賞にノミネートされるなど、すっかり売れっ子のようです)。監督のロバート・ロレンツはイーストウッド作品でよく(共同)製作にクレジットされていた人で、「監督をやってみろ」と言われたのかな。
 なんてことを考えながらWOWOWで見たのだが、要するにこれはファンタジーなのだ。
 とくに終盤あまりにうまく事がいきすぎ、めでたしめでたしで終わる。おいおいそんな都合よくと言いたくなるところだが、ファンタジーと考えると別に不思議でもない。多分、この映画をイーストウッドが監督したらもっと厳しい話になっただろう。
 「グラントリノ」にしろ「チェンジリング」にしろ、いい映画なのだが厳しい映画なので気楽にコーヒーでも飲みながらというわけにはいかない。で、イーストウッドはこの映画をそういう厳しい映画にしたくなかったんだと思う。とは言っても、軽いおちゃらけ映画にはしたくない。それで自身の右腕とも言うべきロバート・ロレンツを指名したのだろう(以上、勝手な推測)。
 イーストウッドは80を越えてもあいかわらずの渋い演技でよい。
 ともかく、アメリカ人が野球関係の人物を演じると誰がやってもサマになるのである。いい感じを出していたのは娘役のエイミー・アダムスで、この人、ちょっとおもろ顔なのでキツイことを言ってもキツイ感じにならないのがいい。計算が違ったとすれば、エイミー・アダムスの相手役の男性よりイーストウッドの方がカッコよく見えてしまうことか。
 途中だれるところがないではないが、それほど退屈せずにいい気分で見終えることができた。「特等席」とは言わないが、一等席くらいの価値は十分にある。ラストの「さてと、俺はバスで帰ろうか」という決め台詞もうまい締めくくりで★1つプラス。イーストウッドの映画は本当にクズがないので助かる。こうなると最後の監督作品になるかもしれないと言われている「スター誕生」。なかなか配役が決まらず、主役のビヨンセが降板したという噂も聞いているが、ぜひぜひ見たいものである。

↓予告編
http://www.youtube.com/watch?v=bdJDNRbEYk4
特等席.jpg
☆★は、尊敬する映画評論家・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。合格というか、まあ許せるラインということです)
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