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「南極大陸」のつまらなさ [テレビの雑感日記]

「南極大陸」のつまらなさ 

 TBS開局60周年記念という肩書きがついた日曜劇場「南極大陸」を見ていたのだが、どうにももう1つ盛り上がりに欠けたまま推移し、だんだんつまらなくなってくる。同じ60周年記念という肩書きがついた日曜劇場「JIN -仁-」は近年のテレビドラマではまれにみるおもしろさだったので期待していたのだが、残念なことである。
 なぜ、つまらないのか。
 まず、日本のため、お国のために南極へ行くというそもそもの目的が私にはつまらないものに思えた。確かに戦後のあの時期、国際地球観測年の一環として南極へ行くといことは、日本もようやく国際社会の一員として独り立ちできることを知らしめる意味でも、国民に夢を与える意味でも重要なイベントであったことは間違いないだろう。しかし、これはドキュメンタリーではなく、ドラマである。「お国のため」なんていう発想が今でも通用するのかどうか、関係者は考えたことがあるのだろうか。南極という(当時は)未知の大陸に行ってみたいという夢を前面に押し立てたほうがよほど現代にもアピールするものがあると思うのだが。
 事実はどうだったのかは知らないが、越冬するのかどうかを決めるのもあまりに行き当たりばったり。プレハブや食料など越冬を見越して積んでいったのではないのか。ドラマだと越冬はしない予定で出航していき、キムタクの発言で急遽決まったように見えるのだが、予定にないものまで大量に積んでいく余裕が宗谷にはあったのだろうか。それに、食料が流されてしまったということがあったのかもしれないのだが、あんなに流されたら餓死寸前になってしまうのではと思ったりもする。
 南極の越冬隊の行動の中に日本で待つ家族らの場面が挟み込まれるのだが(ドラマには女性が登場しないとという硬直した発想があるのだと思う)、うまくリンクしていないのでせっかくの話がそこで止まってしまう。ドラマでは、越冬が始まるまでイヌの活躍する場面が全くなかったが、予定もないのにわざわざイヌとイヌ係も運んだのだろうか。事実も多少は踏まえようとしながらドラマを作ろうとして、どっちつかずになってしまったシナリオの弱さがあちこちに垣間みられる。
 そんなドラマでも、登場人物が生き生きと描かれていればまだ救われるのだが、これがまたそうでもない。「JIN -仁-」は主役の大沢たかお以外にも、ヒロインの綾瀬、その母親の麻生、龍馬の内野、ちちんぷいぷいの少年……と、魅力的な人物がそろっていたからおもしろかったのだと改めて感じた次第。「南極大陸」は、主役のキムタクにしてからがどうにも・・・なのだ。これについては先日「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の感想を書いたので、その中のキムタクの部分を再録しておこう。
「木村拓哉が主人公だといえば企画が通りやすかったのだろうが、あいかわらずのキムタクしゃべりでどうにも説得力がない。若いころはそれがまた役にぴったり合っていたのだろうが、40近いおっさんのしゃべりとしてはとても違和感がある。『SMAP×SMAP』など見るとメンバーの中で1番運動神経がありそうなのだが、キムタクしゃべりと合わせて顔、体型ともきびきびした感じがしないのが痛い。動作が美しくないのだ。役者は実際にどうなのかより、見た感じがどうなのかが重要だとわからせてくれる。」
 要するに、主人公=キムタクがちっとも魅力的じゃない。というか役に合っていないのだ。それにつられてなのか、脇もパッとしない。まあなんとか合格点なのは柴田恭兵、香川照之、堺雅人といったベテラン・中堅陣。経歴詐称の山本裕典など邪魔なだけだし、ドロンズ石本はデブで体だけはでかいのに存在感ゼロ。綾瀬はるかも「JIN -仁-」のときと比べると役があまりに地味すぎて、はつらつ感がない。いてもいなくても話の本筋とは関係ない役である。だいたい、綾瀬先生、小学校でちゃんと授業やっているんだろうか?
 主人公以下、誰1人としてきらめく人物がいないのだ。
 これでは、おもしろいドラマになるはずがない。やはり、ドラマというのは誰か感情移入できる人物、応援したくなる人物がいないと成り立たないものだと痛感させられる。ただでさえ結末が見えていて単調になりがちなドラマなのである。視聴率の低迷もうなずけるというものだ。で、とどめは「プロジェクトX」のマイナーバージョンのような中島みゆきの主題歌「荒野より」。力んだおばさんの歌で興がさめることはなはだしい。
 こう書いてくると、そんなにつまらないのだったら、見なければいいじゃないかという声が聞こえてきそうである。正解。もちろん、そういうことで見る見ないは視聴者の自由なのだが、しかし、せっかく途中まで見てきたのだからその「爆死」を見届けてみたい気持ちもあるのだ。「記念ドラマ」としては、フジの「不毛地帯」に続く、時代を読み間違えた空虚大作ドラマになったような気がする。くどいようだが、シナリオがダメで演出がダメで役者がダメと、ダメが三拍子そろってしまっては、おもしろくなるわけがない。まさしく「仕分け」対象のドラマであった(あ、まだ終わっていないのだから、過去形で語っちゃいかんか(^^;)。
南極.jpg
 というわけで、今期、私が比較的まともに見ているテレビドラマは(自分でも予想外で驚いているのだが)テレビ朝日の沢村一樹主演ドラマ「DOCTORS~最強の名医~」ということになった。沢村というと、浅見光彦、セクスィー部長、エロ伯爵が有名だが、このドラマの沢村は、いかにも腕のたつ外科医に見える。そして、その笑顔がいろいろな意味を含んでいて、なんともいい。名作とはほど遠いドラマなのだが、力んでいないだけ、まだ普通に見られるのだ。
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