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今年のテレビ3 テレビドラマ [テレビの雑感日記]

 不規則な仕事なので連続ドラマはなかなか見られません。ここに書いた故ドラマも、必ずしも毎回見ていたわけではありませんが、それでも「だいたい見た」と言えるのはフジテレビの3作だけでした(正確に言うと、「医龍2」は去年末ですが、まあ感想の記録として……)。

☆「チームバチスタの栄光」
 原作は話題になり映画にもなったが、実は海堂さんってあまり小説がうまくない。まず登場人物の描写がもう一つはっきりしない(メインの2人のコンビを含む)のできちんとしたイメージがもてない(もちろんこれは私の個人的な感想で、たとえば大家では池波正太郎氏の作品は「鬼平」にしろ「剣客」にしろおもしろかったという記憶がない)。しかも、犯人は数人しかいないチームの中にいるはずで、「直接」手術をしている人間はまず除外していいだろうと考えていくと、怪しい奴がやっぱり犯人。しかも、その理由というのも他人を納得させうるものではない。内容的にも、まあ2時間ドラマといったところである。その意味では(まだ見てはいないが)映画にはしやすいのかもしれない。
 それをフジテレビは連続ドラマにした。
 2時間のものをどうやって10時間に引き延ばすのか。まず、2巻本の上巻の最後になって突如出てくる白鳥を最初から出したあたりに苦心の作が見える。しかも、原作では犯人だった人物がちょうど折り返し点を過ぎたところで(最後の患者死亡の犯人であることは認めたものの)、まだ別に犯人がいると言い残して死んでしまう、というか殺される。つまり、ここから後は執刀医の秘密くらいしか原作にはないわけで、まあそれにからんだ犯行だろうなという想像はつくものの、以降はシナリオライターの創作ということになる。
 そうなってくると若干の危惧がないわけではない。フジテレビには「らせん」という前科があるからだ。「らせん」はもちろん、貞子「リング」の続編である。「らせん」(原作)のつまらなさについては、すでに書いた。
http://tcn-catv.easymyweb.jp/member/tag1948/default.asp?c_id=2149
 映画の「らせん」は、その原作にかなり忠実だったこともあり、なんじゃこりゃあといった作品だったが、関係者もそう感じていたのだろう「リング」の設定だけ使って「リング2」という原作とは関係ない続編が作られた(「らせん」よりはおもしろかった)。一方、フジテレビの「らせん」は原作と同じ題名で全く関係ない物語を作った(貞子が出てくるというだけの完全な創作)。最初のころこそ謎が謎をよんでそれなりにおもしろかったのだが、結局のところ収集がつかなくなり、めちゃくちゃになって終了。
 こうした前科があるだけに、期待はしていなかったのだが、まあ「らせん」よりはマシで怒りたくなるほどではなかった。ただ、(ネタバレしないように書くが)2000例の手術で99.5%の成功率というと失敗はたった10例。で、アメリカの病院で日本人の女の子の心臓手術というと多分、問題の1例だけでは。それを覚えていないというのはいくら緊急オペだったといっても、不自然なのでは?


☆話題のドラマ「SP」を見たが……
 夜11時代のドラマで高視聴率をとって話題になっている「SP」というドラマを見た。
 結論から言うと、何が話題になるのかさっぱりわからないドラマだった。知っている俳優はV6の岡田、そして堤真一、平田満、山本圭くらいしかいないが、それなりの役者がそれなりにこなしていて大きな不満はない。岡田も、あの身長でSP?という点をのぞけば(「特殊能力」を買われてSPになれた?)意外と動きがきびきびしていて悪くない。
 なぜか突然クラシックが流れ出す(ショスタコーヴィチの「交響曲第5番」やヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」など。「2001年宇宙の旅」の真似事はいいかげんに打ち止めにしてもらいたい)のにはうんざりしたがテーマ曲のテンポなどなかなかいいし、映像のつなぎもスピード感がある。ただし、スタイリッシュな演出にこだわりすぎたため、SPのメンバーの女性がすぐデブSPの頭をたたく、子供の写真を持ち歩いているなどという性格設定はあるもの仲間キャラクターの描き分けがもう一つできていない。回想シーンがくどい、岡田の「妄想」と現実の描き分けがうまくいっていないなどの難点はあるが、まあ許容範囲と言えないことはない。
 最大の問題は、シナリオ。
 たとえば、人気取りにということだが、話題になるというだけなら、暴漢に襲われたというだけではだめだったのか。刃物を持ち出す必要があるのか。平田とはどういう経緯で知り合い、依頼したのか。依頼を受け人殺しまでした平田はなぜ総理を恨み、あれほど執拗に殺害しようとしたのか。長年刑務所に入っていた平田がさくさくとインターネットをやっていたが、平田はパソコンをどこで習ったのか。ピストルの命中率もいいし、単なるヤッちゃんとも思えない。何者?
 思わせぶりなまま死んでいった秘書やキャリア。とくにキャリアはどういう意図で誰の命令で動いていたのかさっぱりわからず、ときどきニヤリと意味ありげに笑っていただけで、自殺とも秘密を守るため殺害されたともとれる死に方。
 第1話で都知事(大場久美子!!)を狙ったスキンヘッドの男は、第10話で岡田ともみあったあとまだ取り押さえられていなかったが、どうなった。第3エピソードは尻切れトンボで終わってしまったが、あの殺人集団は放置されたままで知らんぷりなのか。最終回、公安君がキャリアが死んでいるマンションの窓から下を見ると一台の車が走り去っていくので、キャリアは誰かの命令でテロリストというか殺人集団に殺されたんだといいたいのかもしれないが、相当無理がある。事件後1か月なんだから殺す時間はいくらでもあるし、捜査が入るので殺したんだとしても、踏み込む直前に殺すというのは危なすぎてあまりに説得力がない。
 スナイパーの男が総理を殺さずにああいう弾丸で撃ったのは何だ。ただ騒動を起こすためだけの愉快犯だったのならそれまでの展開が大げさすぎる。また、ラストどういう手づるでSPに加入することになったのかも不明。死んだキャリアの依頼で動いていたのだが、他にも連絡・命令ルートがあったということなのだろう、多分。要するに、まだまだ終わっていませんよー、というつまらない引き延ばしでしかない。
 堤がラストで突然のように「大儀」などと言うが、そういうことならなぜ今まで1人のときもSP側からの要求が上にいれられず深刻に悩む「演技」をしなければならなかったのか。若い堤が事件現場で殺人をただ見ている必要があったのか……。
 何よりも岡田の特殊能力がイカされていないのが痛いし、そもそもああいった能力が必要だったのかという疑問も残る。上に書いたように、ただ身長が足りないが特殊能力を買われてSPになれたというだけの理由ではあまりに弱い。
 こういった整合性のなさは、おそらくシナリオライターに結末が見えていなかったためではないかと推測する(一部は次回スペシャルへのあざとい布石)。様々な謎や恐怖を提示するのは比較的楽な作業で、これは結末が見えていなくても可能である。が、結末が見えていても難しい収束の作業が、見えていない状況で謎をばらまいた場合より一層、ラストに向かっての収束がむずかしくなることは明白である(第3エピソードの殺人集団などは、SPらしい話を作ろうと始めたのはいいがうまく収束できなくて投げ出したという推測さえ成り立つ)。結末が見えていないシナリオライターと下に書くように視聴率がいいので「柳の下」を狙いたいテレビ局の思惑が握手してこんな中途半端な結末になったのだろうと思う。
 次回2時間スペシャルをやるということなので、そういった疑問はスペシャル(あるいは噂がある映画)で解き明かされるはずだという意見もあると思う。しかし、1/26の放送が「最終回」だと番組でも告知されていたわけだし、新聞やテレビ雑誌にも(終)の文字が印刷されていた。視聴者は「いよいよ最終回か」と思って見たわけである。
 まだまだ視聴率がとれそうだからと引っぱりたいテレビ局の気持ちはわからないではないが、やはり連続ドラマの最終回はそれなりの結末をつける必要があるのではないのか。正月にやった「のだめカンタービレ」のスペシャルだって連続ドラマとしてきちんと結末をつけた上でのスペシャルだったわけで、それが当たり前だと思う。今回の「SP」の結末に関しては関係者のみみっちいというか小狡い思惑が見え隠れしている気がして後味があまりよくない。(それにしても「SP」のスペシャルとなると「SPSP」なのかな?←うちの奥様は春に放送された問題の「SPSP」を見たそうだが、「期待して見たのに、ほとんど総集編だった」と怒っていた。まあ、あざといのはテレビ屋の常なんだけどね)。


☆「医龍」まんがとドラマの間
 先日「医龍」の走り見の感想というか雑文をアップしたところ知り合いのKMさんから「前回の医龍は面白かったですが、今回の医龍2はいまいちです(^^;)」
 というメールが来た。
 評判がよかったので柳の木の下のドジョウを狙ったのだろうが、映画でも1より2のほうがおもしろかったというのは「007ロシアから愛をこめて」「スーパーマン2」「ゴッドファーザーPART2」くらいしかないのだから、やっぱり、ってな感じだ。ま、「エイリアン3(および4)」や「コクーン2」「ポセイドンアドベンチャー2」のような「見なければよかった」馬鹿野郎駄作でなければヨシということだろう。とりあえず毎週録画はしているので、まとまったところでまた走り見してみようと思っている。
 という話とは別に、
 街中を散歩していると古本屋に「医龍」のまんががあった。といっても単行本のコミックスではなくて、表紙に「テレビドラマ化」なんて印刷してある、雑誌である。1〜5まであり比較的きれいで1冊50円という安さ。テレビドラマと違っているところもけっこうあるという話も聞いていたので、どうしようかなあと手に取って迷っていると暇そうな店主のおっさんが、
「5冊200円でええよ」
 タバコ1箱よりも安いじゃんと即買ってしまった。もしかして売れないのをうまく乗せられて買わされてしまったのか?
 帰りのバスの中で、第1巻を見ると、おおっいきなり朝田とミキちゃんのベッドシーン(わかる人にはわかる)。水川さんもここまで頑張ってくれれば視聴率ももう5%は上がったのに、残念(^^;;。朝田はドラマの坂口のほうが断然かっこいい。外科医は体力勝負のところがあるのでうまい配役だと思う。ミキちゃんの水川さんも悪くはないがまんがのミキちゃんに合わせるなら小池栄子かほしのあきあたりがやる必要がある。ただ、そうすると手術のとき、きびきびと動けるのかという疑問もでてくる。ドラマ化のむずかしいところである。脱がないのなら手術室できちんとした動きのできる今の水川あさみで問題ない。
 最も大きな違いは、夏木・妖怪・まりがやっているERの鬼頭教授がまんがではちょっと、いや、かなりキザな男だったこと。女性陣がちょっと弱いのでドラマ化で鬼頭を女に変えたのは納得だが、もう少し華のある女優さんのほうがよかったかも(といってもすぐには思い浮かびませんが)。
 加藤=稲森、伊集院=小池、霧島=北村、野口=岸部、木原=池田なんてところは外形で選んだのかというほどまんがと配役がかなり似ている。もっともまんがの伊集院はドラマよりちょっと嫌な奴ではある。
 それと、加藤と霧島の間に(少なくとも第5巻までには)男女の関係はない。むしろ5巻では霧島はどうやら異母兄弟のミキちゃんに惚れていたようなことが書かれている。
 藤吉=佐々木はまんがはゴリラのようなおっさんだが内科医は外科医ほど体力勝負ではないのだからドラマの蔵ちゃんのほうがよい。麻酔科医の荒瀬は5巻までに出てこないので阿部とどうなのかなんとも言えない。阿部サダヲの荒瀬ははまり役なのでどうなんだろう、まんがを越えているのか?
 あと最初にバチスタ手術を受ける元看護士の奈良橋がこれまたオランウータンのようなおばさんなので、ドラマではいったい誰だったんだろうと見直してみたら、ひょっとして女壺降り師として一世を風靡したあの江波杏子さん?
 総じて乃木坂太郎というこのまんが家、初めて見る人なのだが(少年誌はもちろん青年誌もまるで見ていないので当たり前か(^^;;)どうもまだ人物の描き分けがうまくできないような気がする。そのため違いを出そうとするとついつい強調がきつすぎて藤吉=ゴリラのようになってしまうのではないのか。思い出してみれば、「美味しんぼ」の花咲さんも初めの頃はひどいものだった。「医龍」はすでに十数巻でているらしいので絵柄も進歩している可能性はもちろんある。
(その後、録画しておいた「医龍2」をまとめて見た。まあ1よりはだいぶ落ちるが、それなりに見られる出来にはあった。ただ、いくらなんでも内田有紀が外資系に勤めるバリバリのキャリアウーマンというのは演技力のなさもてつだって撃沈。1で敵役だった霧島がすっかりいい人なっているのが笑えた。)
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