SSブログ

「ラドン」がパクった「放射能X」 [映画の雑感日記]

「放射能X」☆☆☆★

 新年早々、お前はいったい何を考えているんだ、と言われそうだが、実はあまり考えてはいない(^^;。「巨大蟻の帝国」「黒い絨毯」に続いてのアリ映画である。
 別にアリが好きなわけでもないし、動物パニックの映画が好きというわけでもないのだが、「いきががり上」というやつだ。アリの映画の話ばかりになるが、ことのついでに「放射能X(原題THEM!)」の話もしてしまおうということである。なんだか弁解を並べているような気がしないでもないが、そして今では話題にする人もほとんどいないと思うが、私見では、これこそアリ映画の真打ちである。
 この映画、私は子どもの頃劇場で見ている。もちろん親といっしょに見に行ったわけで、名古屋のメトロ劇場だったと思うのだがよく覚えていない。どういう経緯で見に行くことになったのかも覚えていない。あまり映画に連れていってくれるような親ではなかったのだが、巨大なアリが出てくる映画だと知って、見たい!とせがんだのだろうか。まあ、そんなことはどうでもいい。
 話は、原爆実験の放射能で巨大化したアリが人間を襲うという単純なもの。こう書けば、「巨大蟻の帝国」がそっくりパクっていることも明白なわけだが、やはり元祖だけあって映画の出来はこちらのほうがはるかにいい。本当かどうかは知らないが、アリの「ひゅろろろろろ〜」という鳴き声?が効果的に使われているので、その音が聞こえるだけで「うわあ、来るぞー」「危ない、早く逃げろ」と、見ているこちらは思うわけだ。
 しかし、今見ると、特撮がちゃちですなあ。
 模型、着ぐるみともにこれなら東宝特撮のほうが上だろう。この映画で高く評価できるのは、この手のB級ホラー映画にしてはストーリーがそれなりにきちんとできていること。何度も書いていることだが、記憶喪失が何かのきっかけで思い出しにつながることや、地下の下水道を懐中電灯の光りを頼りに進んでいくところなど緊張感があってなかなかにうまい。このあたりは蟻酸を卵の孵化に、地下の下水道を炭坑に置き換えて東宝の「ラドン」がそっくりパクっていた(設定がここまで似ていると、「影響を受けた」なんて言い方は通用しないと思う)。
 というわけで、極論すれば巨大アリが出てくる前のストーリーに緊張感があるわけだ。これは後のヒッチコックの「鳥」にもいえることだが、こちらは巨大アリが出てくることはポスターなどで知っているわけで(ヒッチの場合は鳥の襲撃)、それが登場人物には(巨大アリのことが)わかっていないため、危ないぞーと、こちらは、はらはらするわけだ。見えないだけによけい怖さを感じるという仕掛けだ。監督のゴードン・ダグラスはリメイクの「駅馬車」で転けてしまったが、この映画はがんばった。有名俳優が出ていなくても、特撮がいかにちゃちくても、構成がきちんとできていれば映画は成立するという見本のようなもの。この映画今でも十分見るに値すると思う。

↓予告編+メイキング
http://www.nicozon.net/watch/sm16316680
放射能X.jpg
☆★は、尊敬する映画評論家・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。合格というか、まあ許せるラインということです)
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。