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「白昼の襲撃」とハードボイルド [映画の雑感日記]

「白昼の襲撃」 ☆☆★★★

 ぼんやりあてどもなくチャンネルを変えていたらチャンネルNECOでこんな映画をやっていた。タイトルも含めて全く知らない映画である。黒沢年男が出ているのが気になった。今でこそ(がん治療以降)帽子をかぶった人のいい小太りなおっさんにしか見えないが、若い頃の黒沢年男は実にカッコよかった。酒井和歌子との青春ものもちょっと鬱屈した青年の感じがよく出ていて様になっていたし、「日本のいちばん長い日」での青年将校も決まっていた(「頭に来る」今風に言うと「キレル」感じが抜群に似合っていた)。世の中は、ぼんくら、失礼、坊ちゃん加山が人気だったが、私には加山や裕次郎といった坊ちゃんスターのどこがいいのかわからず、黒沢年男は小林旭の次に贔屓にしていた。まあ、そういう「坊ちゃん」とは縁のない生活だったので、よくわからなかったのかねしれないが。
 ガイドを見ると1970年の東京映画で90分。これならまあ駄作だったとしても1時間半なのだから見てもいいか、と例によってソファに寝転がってみた。
 物語は、少年院から出てきた黒沢年男は高橋紀子(離婚していなければ確か寺田農夫人)のヒモのような生活をしていたが、ひょんなことからピストルを手に入れ……、というどこかで見たことのあるような展開。その後はお決まりのラストへと一直線なのだが、黒沢と高橋が、がらんとした深夜の商店街を逃げるシーンなど廃墟のような雰囲気があってちょっといい画面もあった。ただ、いわゆる日活無国籍アクション映画などでもそうなのだが、日本の警察ってあんなに撃ちまくるもんなのかね? 映画なんだから別に撃ちまくってもいいじゃないか、という意見もあるだろうが、どうにも嘘くさくなってしまう。
 黒沢年男は、ぴったりのはまり役。やっぱこういうめちゃくちゃな奴の役は断然似合う。高橋紀子もなかなかの好演なのだが、大女優でもないくせに、脱ぎ惜しみはいかんねえ。いや、松坂慶子、栗原小巻といった大物だって脱ぐときには脱いでいるのだ。にもかかわらず高橋は、しっかりとブラをつけていて女優失格、減点★1つ(^^;)。
 時代からいってもいわゆる「ニューシネマ」を意識した作りで、学生運動家崩れが岸田森、その恋人が緑魔子、ヤクザの親分が殿山泰司なんてひとくせある面子がそろっている。音楽もトランぺッター日野皓正を中心にしたもの。ラストもまあ予想通り。このころのニューシネマって「イージーライダー」にしろ「俺たちに明日はない」にしろ、最後に主人公が死ぬのが定番だったからねえ(あ、いかんネタバレだ(^^;)。ただ、一時期の岡本喜八監督の「暗黒街」シリーズなどもそうなのだが、日本映画とハードボイルドというのは、どうもミスマッチのような感じがして、しっくりこない。ヒロインが泣き崩れたり、めそめそしたりするようなシーンを排除して、スパッと終わってくれたのがまあ取り得と言っていいのかもしれない。
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☆★は、尊敬する映画評論家=故・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。要するに合格というか許せるぎりぎりのラインということです。)
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